未踏作業日誌――余計なもの作るよ!

未踏の作業日誌的なものを書きましょうということで書くことにしました.余計なことばっかりしています.

進捗ありました

気のせいかもしれないけどまた久しぶりにブログを書いたような気がする.Yahooブログの方もほったらかしにしてるしどうしたものか.

ここ最近は,音楽の方の進捗が目覚ましい.VRコンテンツにも耐えられるような,実時間で和音を解析するためのアルゴリズムができた.押弦フレットまでまるわかりになってる.Specmurt分析を超えられたかもしれない.簡単な実験をやっていても,どのようなパターンのコードでも認識する.クォンタイズを挟めば,ロックスミスとは違った,本物のインタラクティブ・ミュージックが実現するかもしれない.

一方で,論文の査読に落ちました.正直,書き忘れたことも多くて,逆に掲載されたら恥ずかしい状態だったのでホッとしてる.それでも,リジェクトされたので時間が無駄になってしまった.とてもいい査読コメントがついたので,それを参考にしながらいらない部分を一生懸命削ってる.と言うより,たぶん不要と思われた部分は読まれてない感じがするので,読まれていない部分を削れば,もっとスリムで読みやすい論文になるのかもしれない.

そういうわけで,12月は2本も論文を書く必要に迫られている.実験もある.急いでやらないといけない.特に,和音の方の実験プランが立っていない.演奏はそれほどうまくない.かと言って,既存の演奏を読み込ませて解析するのは野暮だ.できれば,押弦フレットの推定をパーフェクトにこなしたい.まだ,確率モデルができていないからしょうがない.

 

ここ最近は,筋トレしながらドラマ見るのにはまってる.筋トレは3日ローテションで,上半身,下半身,体幹の順番でやってる.おしりの筋肉がどうしてもつかなくて困ってる.立位の姿勢を維持するのに必要な筋肉だけれども,どの筋トレを試しても疲れない.しかたがないので,歩くときにおしりを締めて歩いたら多少の負荷がかかった.スクワットだと絶対に負荷がかからない気がする.

寝る前にプロテイン養命酒を飲んで,筋肉と健康を祈願しながら寝てる.睡眠時間は11時間.知らぬ間に目覚まし時計を消してて起きられない.アレルギー薬を飲んで睡眠時間をずらしたり工夫しているけれども,睡眠時間に限って歯がたたない.どうにかならないものか試行錯誤してる.睡眠時間が長いのは睡眠の質が極端に悪いかうつ病になってるかどちらかなので,早め早めに対処したいけど時間がない.免許を取らなければ.うつ病ならバイク乗って気分爽快になれば回復するかもしれない.とにかく,1日8時間睡眠でも通常営業になるようになりたい.

XAMPPでMongoDB使うための記事を書いた

ブログ開いたらこの画面が出てきた.

卒研生がXAMPP+MongoDBの環境構築で詰まってたので手順書書きました.書いてる最中に帰ってしまったので,途中から闇の波動が出ています.

XAMPP環境でMongoDBを扱う - Qiita

 

最近はMySQLじゃなくてMariaDBとか,聞いたこともないようなRDBMS使うんですね.最近だとPHPMySQL使えなくなってるんだろうか.色々な確執あるんだろうなぁとか思います.大学の授業だと古いバージョン使わせられるとかありそう.

PHP使ったの,もしかすると4年ぶりかもしれない.案外,文法ミスなしで書くことができて嬉しいし,Sublime TextだとPHPのハイライトがなぜか美しい.意味がわからないよ.もっとRubyのコードが美しく見えるといいんだけど…….いや,でもアロー演算子とか変数演算子?は許さん.

久しぶりにMongoDBを弄ったので,持っている画像を全て使って,顔画像認識データベース作ってみたい.そこから,正誤判定しながらアニ顔識別器を強化してみたいけど,正誤判定が一番面倒くさいというか,作業量があまりにも多い.やってみたい研究だけど,僕が卒業するために必要な研究じゃないからつらい.

かと言って今の研究は,そうじゃない感の強い結果が得られてしまった.いや,綺麗なデータが取れたけれども,インハーモニシティの強い楽器を使ったら絶対に滅茶苦茶になる気がする.なので,HPSという方法で試行錯誤してる.ただ,HPSはベクトルじゃなくて絶対値の内積を取っているので,これはどういう表現をすればいいのか悩む.数学を勉強したい.

 

ここ最近は筋トレとか毎日やっていて,徐々に体力が戻っているはず.入院する前より体力は上がっていると思うけど,怪我した方の脚はどうしても筋肉がつかない.ウォーキングとかランニングをそれなりの負荷をかけてやらないとダメなのかもしれない.自転車乗りたいけど,左足に力が入らないから困る.

フロントブリッジで休んでいる状態から,体を起こすトレーニングの名前がわからなくて困る.一応,脊柱起立筋周りと腹筋が鍛えられているだろうということはわかるんだけど,やり過ぎて体を壊すパターンに入るのかどうか気になる.フロントブリッジも1分半超えるようになったし,腕立ても20回できるようになった.日々圧倒的に成長!

プロテイン飲むのに牛乳買ってるんだけれども,本日は買うのを忘れてしまった.そのまま飲むのはつらいので,トレーニングだけやって休む.

 

今思ったけど,ここで書いてる内容ってTwitterで書いてる内容とそんなに変わらんな.ブツブツ言いたい性分なんだろうなぁって思う.

予算13~15万円ぐらいでなんかいい感じのマシン構成を考えてみた

なんか今日は調子が悪いので,あまり体調に影響しないような作業をやってた.

 

大学で研究をやっていると,割りと分野外の人が論文を見るということが多い.と言うより,今いる研究室で割とそういう人が多いという実感があるため,分野外の人でも読めるような論文を心がけている.

そういうわけで,下のような記事を見たら,記事が専門的で迷っている人の解決になっていなさそうなところが気になってしまった.

ch.nicovideo.jp

 

とりあえず,何も考えずにゲームとかモデリングとか動画編集とかなんでもござれで,かつ予算がだいたい15万円以下で,とりあえず適当にこれでいいだろ,というのを考えてみた.

割りとなんでも使えるマシン構成 - Google スプレッドシート

A構成は13万円,B構成は15万円コース.B構成は値段の割にハイスペック.

構成のコンセプトは,最新のCPU+マザボを使いつつ,最新ゲームをそれなりに不自由なく遊ぶにはどうすればいいか考えた.ちょっと昔だと20万超えるような構成が,今は15万ぐらいで組めちゃうんですね.

あくまで自作での構成なので,パソコンに詳しい人に焼き肉おごれば好きな人だと組んでくれると思う.本当は試しに自分で組んでみてうまく行かなかったらレスキューが勉強になる.

 

(え? スコア? 定性的な評価が多くて参考にならないし,僅かな数値にお金を払うぐらいなら,信頼性+安定性+前規格との差分に気前よくお金払おう)

歯科診療って大変だね

割れた歯にやっとクラウンが被さった.先週は仮付けで,今回は本番環境.ピタッとハマったので今日は牛丼食べた.

ただ,本当は先に被せ物をすると保険適用外らしい.本当は歯石とか歯肉が万全な状態になってから初めて被せ物をするのだけれども,歯が割れて緊急を要していたので例外的に被せ物をした.

被せ物は歯肉の出血がなく,歯周ポケットが2ミリ以下ぐらいが条件らしい.本当は色々あるのかもしれない.上下の歯をそれぞれ別々の日に検査・治療して,それでダメだったら今度は歯を上下左右4ブロックに分けて検査・治療する.もし,上下2回で合格しない場合,さらに上下左右4回の検査・治療が必要になる.これをやらないと被せ物の請求ができないらしい.今回の治療は先に被せ物をして,後で検査を全部合格してから被せ物の請求をする方針になった.なんとも面倒くさい.でも,患者さん優先の歯科医院だったので,先に被せ物をしてもらえたのが幸いだった.歯が割れていたから,その隙間から感染を起こして歯を抜かなければならない.良い歯医者が近くにあってよかった…….そういうわけで,僕は残り4回,被せ物の請求をされるために通院しなきゃならない.2ブロック分は綺麗らしいから,残り2ブロックだけやってもらいたいけどそうはいかないらしい.普通の病院より面倒くさいんじゃないかコレ.通院が週1で1ヶ月ぐらい続きそうだから本当に困る.研究の進捗は良かったけれども,来年のDICOMOで賞取って推薦論文を貰いに行くので,戦略的に考えて今の研究を塩漬けしたほうがいい結論になった.というわけで,EC特集号に向けて別の研究をやろうということになった.3週間後に進捗が見られるけど,ある程度は実装の目処が立っているので,進捗ゼロでもゼロじゃない感じ.うーん…….査読中の論文の結果がなかなか返ってこない.リジェクトされたらすぐに推薦論文として投げる準備はあるんだけれども,うっかりして修正箇所を記録するのを忘れていた.最終バージョンとの比較しなきゃならないけれども,極めて面倒くさいことになった.どうも配牌が裏目ってる.

情報リテラシと作業の高度さは比例するよね

最近,ジャズのシステムを作っていて,音楽は宇宙だということを思い知った.1つのコードに対して転調可能なコードはいくらでも存在するし,それぞれのコードで利用可能なスケールはまるで違う.こんなのをリアルタイムで計算しながら演奏するのは不可能に思えた.それでも,いちいちニュアンスを変化させたりしながら演奏できる人は,音楽演奏に関して類まれな才能を持っているんだろうと思う.それが音楽的センスなのか,理論的センスなのかは知るすべがない.

そういうわけで,研究スケジュールから見て,別の研究をやったほうがいいことになってしまった.既にDICOMOで発表しているので,その内容をさらに発展させる方向性になった.とりあえず,今やっている研究にも一区切りついたので,スケジュールを急に変更しても大丈夫な気がする.

歯が割れてしまったので,ここ最近は歯の治療をしている.歯を残す方向性だったけれども,クラウンの下駄が高すぎて歯を滅茶苦茶削られてしまった.おまけに,クラウンをハメても高すぎるので下の歯も削ることになった.幸い,歯医者さんが頑張った結果,クラウンは見事歯に収まり,仮り付けすることができた.ただし,何かベトベトした食べ物を食べるとクラウンが抜けそうになるので,未だに割れている歯で噛むことができない.つらい.

来週,MRIの検査結果が来て,これからのリハビリのスケジュールが決まる.バイクの教習に行けるようになるかもしれない.冬休みや春休みに入ると,暇な高校生が車の免許を取りに行くので,やたら混み合うらしい.その前にバイクの免許を取ってしまいたい.できれば,慣れるまでは小型MTで乗りたい.普通にスーフォア160kgもある.重い.

 

まあ,そういうどうでもいい話はここで置いといて,情報リテラシって情報系大学の中で凄く難しい問題だよね,って思った.

情報リテラシとは,コンピュータとの仲良し度のことで,情報リテラシが高い人ほどコンピュータの新しい知識に対して適応能力が高い.逆に情報リテラシが低い人は,キーボードを見たことがない,ネズミがどこにいるのかわからん,みたいな状態になる.断っておくけれども,低いからって悪いわけではない.

しかし,情報系の大学を出ているのに情報リテラシが低いという状態は,客観的に見て何を勉強しているんだという話になってしまう.恐ろしい.幸い,大学から支給されるノートパソコンで宿題ができないって人は見たことがない.噂も聞かない.そこまで酷くはなかった.

 

しかし,情報リテラシはこの情報化社会の中でどうしても必要になってくる.最悪,エクセルで方眼紙できるスキルが色々なところで求められている.

一方で,方眼紙しか作れないレベルだと,Excel上の顧客情報を参照して,請求書だとか旅券だとかを出力することはできない.Accessなんて以ての外だし,そもそもExcelの関数を知る必要がある.ここは個人で勉強して貰いましょうというところなのであるが,情報リテラシが低いと端からわからないと決めつけて勉強しない事例がここ最近で発生した.

しかし,情報リテラシが低いと,現在何もわかっていないことを理由に勉強しないことがある.過去に何度か遭遇した.根気強く教えたつもりではいたが,全部僕がやっていたような気がする.あまりよくない.

どうにかして本人の情報リテラシを高めないと,いつまで経っても覚えないし,その作業も反復することができない.

 

ここで情報化社会の一員として色々と考えるのである.

  1. 頑張って勉強してもらえるようプレッシャーをかける
  2. 勉強しなくても済むようなものを作る
  3. 無視をする

1番はわかりやすい.公務員になりたいのなら公務員試験に合格しなきゃならない.じゃあ勉強するしかない.特に強いプレッシャーをかければ,普通ならば勉強を始める.あるいは,家庭教師をすることで,弱いプレッシャーをかけ続けるなどもいいかもしれない.

2番はエンジニア的な視点で,簡単に高度な作業のできる物を作るということである.振り返ると情報化社会というものは様々な技術の集積で,少しずつ難しかったことが簡単になり,より高度で難しいことができるようになるの繰り返しだった.しかし,勉強も出来ない人が使えるような簡単な物を作るとなると,並大抵の努力では作れない.数多くのソシャゲが存在するが,AAA級タイトルのほとんどはUX班があって,操作性やイベントの心地よさについて,定性的な評価を集めて実装に反映させている.

3番はもはや諦めにも近い.自分は関係ないとしらを切る.選択として最悪ではあるが,心が平穏になる.平穏になっても,教える立場と教えられる立場で成長が望めない.これは困るぞ.

 

勉強しないと困ることの一つは,高度なことができなくなる点がとても大きい.必然的に,誰かが2番を選択して,高度なことを簡単にできるソフトウェアが開発されないかぎり,いつまで経っても高度なことをすることができない.そうなると,簡単な作業しか回せなくなってしまう.本人も成長する気がなかったりすると,とても悪循環になってしまってこちらも困る.

ここでタイトルに戻ってしまうけれども,情報リテラシと作業の高度さはどうしても比例してしまうものがある.情報リテラシが高い人は,適応力も高く,すぐに様々なツールを覚えて使いこなしてしまう.結果的に,そういう人ほど知識が集約するので,問題点を解決する糸口を持っていたりする.

いや,でも情報リテラシが高い人たちも低い時代があったはずで,僕も上海とシムシティしかやっていない時期があったはず.じゃあ,なぜ高い人と低い人で差が付いてしまうのか…….

コンピュータに対して勉強のモチベーションを向けられないのだろうか.でも,やる必要があると知っているのにやらない理由にならない.私生活で勉強よりもゲームのほうが重要なパターンも考えられる.

こんなパターンがないかと自分の人生を振り返ってみると英語の存在があった.一応,必要なことだろうけど,文法はいくら覚えたところで作文に活かされないからさっぱり勉強していない.ああ,なるほど,本人にとって勉強する必要もないことは勉強しないのだろう.

いや,だとすると業務とか卒業で必要なことを勉強しない理由にならない.

逆に,情報リテラシが高い人は好奇心旺盛な人が多いような気もする.

 

色々と考えたけれども,高度な作業をするには,情報リテラシを高めていかなければならない.どうしても情報リテラシを高める方法はないんだろうか.できるだけこちらの手間をかけずに.本当にそんなことができるようになったら革命だと思うけど…….

歯が真っ二つに割れたので治る見込みのない治療をする話

先々週から下痢続きで,5日ぐらい前から発熱でしんどく,一昨日やっと病み上がりで嬉しいな~って思った矢先にこれですよ.マックのアップルパイを食べてたら,パイ生地の端っこが綺麗に奥歯の隙間に挟まりまして,歯が真っ二つに割れました.

最初は食べた時に痛いと感じるぐらいで,特に痛みはなかったので1日様子見たのですが,やわらかいうどんを食ってる時もやっぱり痛くて,舌で触ったら割れてるのを確認しました.虫歯で歯が陥没したほうがだいぶマシでした.

で,日曜診療やってるところで歯を見て貰ったのですが,目が覚めるレベルで綺麗に割れたそうです.ぶっちゃけ,歯根まで割れてしまうと再生治療の見込みが全くないみたいですが,もしかすると若いのでくっつく可能性もあるということで,その見込に賭けてみることにしました.

常識的に考えて,さっさと抜歯してインプラントにしたほうが楽なんですが,あまり自分の体をボロボロにしてもしょうがないので,残せるものは残したいなと.真っ先にダメになるのは割れた歯かもしれないですが.

にしても,大腿骨頚部骨折に引き続き,股関節が動かないだの,下痢が続くだの,熱でしんどいだの,それで今度は歯が割れるって,ここ最近の運勢はどうなってるんですかね? それに引き換えて,論文賞貰ったり,研究の目処が立ったり,麻雀で勝つぐらいのプラスはあるんですが.寝てる間に悪魔と成果出す代わりに体が不調になる契約でもしたんですかね?

産業と学術の両方の視点を持つことについて

Twitterでなぜかゲーム開発がトレンド入りした.なんだろうと思ったら,どうやらCEDECの記事とゲーム専門学校の記事がRTされまくっているらしい.どちらも個人的にモヤッと来るものがあり,うーんなんだかなぁと思った.

 

専門学校のほうは,割りと頑張っている学生さんを何人か知っていて,だいたいそういう人はちゃんと就職できている.たぶん,どうしてもやる気でない勢がどんなものか実感がわかないのかもしれない.でも,うちの大学でもそういう人いるけど,少なくとも共同制作の経験は1回ぐらいあるしなぁ.企画志望で何もやってない人は幸いながら(?)一度もお目にかかったことがない.

なので,現実的な問題として,記事の内容が本当にそんな奴がゲーム会社の面接までたどり着けるんかいと思ってしまった.そもそも,ゲーム会社はポートフォリオを要求してくるので,作品がないのに面接まで上がれるのは,たぶん内部的な何かがあったとかそういうのがあるのかもしれない.少なくとも,誰しもが作品を作る世界なので,本当に何も作ってない人がいるのかわからない.ポートフォリオを偽造して潜り込んでくるアホの話はよく聞く.何もできない人でもポートフォリオは偽造するので,作品は必須なもんだと思っていた.作らない人もいるのかな? ということでモヤモヤしていた.

 

もう一つモヤモヤしたのは,遠藤さんと馬場さんと簗瀬さんの記事だった.CEDECは足の不調でエキスポパスで挨拶する程度だったので,本体のセッションには参加していなかった.なので,本当はどんなことを言っているのかはファミ通やYahooニュースなどの記事でしか知らない.

既視感については凄くあるあるネタで,タイトルだけ読んでも「ここ最近だとスクフェスが1年半ぐらいかけて育てたDL数を1週間で塗り替えて凄いよね,ここまでコンテンツ育てると,類似コンテンツに波及するからヤバイよね」と思ってしまう程度にあるある.

内容自体は普通だし,記事で得られる知見を要約すると,「やっぱりオリジナルをやりたい」という話で,残りは今までの知見を共通の言葉で説明している風だった.ただ,読んでいて一番モヤモヤしたのが以下の一節.

また、学会でもゲームには思い出補正があるという議論がたびたび行われるそうで、高校生までに遊んだゲームがいちばん だという人が56%も存在。となると、ゲームは昔のものに勝てないということになるが、20代前半にプレイしたゲームがいちばんという女性が多い事実も発 覚。これは思い出補正ではなく、半数の人が設定や世界観、キャラクターに惹かれているというデータが出ている。よって、設定や世界観、キャラクターといっ た要素は、思い出補正を打ち破れる力を持っている、と述べた。

【CEDEC 2015】ゲーム開発における既視感は“悪”なのか? [ファミ通app]

揚げ足を取るわけではないけれども,現在のゲームより高校までに遊んだゲームのほうが面白いと答えたのが約半数だとして,「設定や世界観,キャラクターなどの要素が思い出補正を打ち破れる」という結論に至るのは,定量的な観点から見て話が飛躍していてよくわからない.もしかすると,記事が要約し過ぎて意味不明になっているだけかもしれない.

 

まず,仮に約56%の人が現在のゲームより,過去のゲームが面白いと答えている.残りの半分は現在のゲームが面白いと答えている人がいる.よって,思い出補正を打ち破れるという結論になっている.

しかし,これは主語が抜けていて,(過去のゲームが面白いと答えている人の)思い出補正を打ち破れる,という結論に取れなくもない.いや,(現在のゲームが面白いと答えている人の)ことかもしれない.この記事の主語がないのでどちらとも取れる.

前者だとかなり具合が悪い.と言うのも,この記事の中では,具体的に過去のゲームが面白い人の思い出補正を打ち破った方法について書いていない.ましてや,その論拠を現在のゲームが面白い人がいたから,と結論付けるのは,あくまでそういう人がいたから,そういう結果になっただけで,「思い出補正を打ち破った」とまでは言えない.

この点が物凄くモヤモヤさせる部分で,結論に対して実践したことが何一つなく,アンケート調査によって現代に生きる人が感じていることが明らかになっただけ,という感想をいだきかねない.講演は見ていないので,もしかすると思い出補正を打ち破る方法を実践したことがあるかもしれない.

 

もう一つモヤモヤしたのは,既存のキャラクターや設定,世界観を共有したら,既視感を滅茶苦茶感じてしまうんじゃないのかと思った点.これがゲームシステムの話だとしても,記事の中で既視感のないゲームが重要だと説明している.だとすれば,なおさらゲームシステムだけ新しくして既存タイトル流用しても,プレイヤーからすれば既視感そのものは拭えないんじゃないかと思った.

また,設定や世界観によってゲームシステムも制約を受けるので,もし既存のタイトルを流用すれば,制約を受けた部分で強い既視感を生む可能性ももちろん高くなる.

そうならないようにゲームデザインすると言っても,過去のゲームを事例として,既視感の有無はちゃんと調査されているのかという疑問もわく.例えば,あるゲームが影響を受けたゲームは何か,どのようなゲームに似ているのかグラフ化して,本当に既視感のないゲームは過去に作れていたのか調査しなければ説得力がない.既視感のあるゲームしか作れていないのに,既視感のないゲームは作れない.

この記事を読んだ限りの感想を書いてしまうと,ある体験をベースにゲームをデザインしたとして,それと同じ体験をした人がいるならば,それは間違いなく既視感になる.だとすれば,色々な人が潜在的に体験していることをベースに,共感するようなゲームをデザインする方向性の方がやりやすいのではないのかなと思う.それは当然,誰しもが既視感を抱くだろうし,既視感がなければ共感を得られないわけだからしょうがない.至極まっとうだしあまりおもしろくない.

 

で,話はそれなりに飛んで,この記事を読んだ限りだと,かなり主観的な内容だし,個人のパワーに依存してしまっている問題がある.特に,こういうのは研究のお作法で言うところの再現性のない問題にぶち当たっている.

よくある議論として,「産業分野は既存のパッケージングばかりだし,再現性のない適当なことをクローズドでやっている」「学術分野はパッケージングもろくにせず,再現性と言いながら動かせるものを作っていない」というのがあって,悲しいかな,産業と学術は猿と犬なんじゃないかと.

確かに,言っていることは両方ともその通りで,両方とも経験があるからこそ,両方に共感できる部分がある.産業の人は学術の人を批判してばかりだし,その逆ももちろん起こっている.産業も学術も,これまでの視点や考え方はたぶん変わらないと思う.

ただ,それだと今までどおりのものを,今までどおりに生産し続けるだけになってしまうので,とてつもなくつまらないものになる.かの記事を読んでいて思ったのは,産業と学術の両方を体感して指導を受けていないと,あまりにも偏った人間になっちゃうかもしれないなぁということ.

やっぱり,産業の人も学術の人も,対極の人を批判しているだけで改めるということがないわけですね.となると,自分はどうするかという部分で,客観的な視点からダメな部分を改めるほうがいい.そういう人が,何かしら新しい物を作る可能性があるかもしれない.

 

そういうわけで,今後ジョブズみたいな人材云々の話で言うと,大学4年まではインターンやアルバイトなどの経験で,産業の視点を身につけつつ,ドクターを取って研究の視点を身につければ,もしかすると何かしら新しい視点を持った人になるんじゃないかなぁとか思った.

批判精神もそうだし,良い物を作るというのもそうだし,どちらかが欠けていると,新しい良い物を作れなくなるんじゃないかなぁ.そんなことを思った月曜日の午後だった.