未踏作業日誌――余計なもの作るよ!

未踏の作業日誌的なものを書きましょうということで書くことにしました.余計なことばっかりしています.

研究者になることで懸念していること

正直なところ,国立大学の人件費削減がヤバすぎる.北大が教授205人分の人件費削減を提案していて,その規模は教授の年収1000万円と仮定しても20.5億円規模になる.

大学の市場規模は非常に小さく,国公私立全部合わせても755社しかない.国から貰える運営交付金は2.5兆円.1大学あたり約3億円程度しか貰えていない(もちろん大学の規模や何らかの基準によって増減はする).

北大は教授のリストラとまでは言わず,基本的に有期雇用の雇い止めや退職者の不補充でまかなうとされている.教授200人分相当の教員が市場に溢れるので,ただでさえ研究者になりにくいのに,さらにキャリアのある人が職に付けないでいる状況になる.

腐っても北大なので非常に優秀な研究者が追い出されている現実を考えると,とても研究者になりやすい環境とは言えない.

学生1000人を120万円の授業料で抱えても12億円にしかならない.僕の大学は5,057人在籍しているので約60億円の収入がある.国立大学の在籍数は11,403人で授業料は54万円なので約61億円の収入がある.北大のほうが明らかにマンモスでキャンパスも広く設備も充実しているが,収入の規模だけで考えると神奈川の田舎にある小さな大学と同程度しか収入がない.在籍数が増えると雇う教職員の数もなし崩し的に増えるので非常に効率が悪い.

これだと他の国立大学の運営状況も非常に気になってしまう.本当に経営のヤバイ大学が案外あるんじゃないか? 運営交付金もガンガン削減されている.

 

こんなことを考えると将来的に研究者は大丈夫なのかと考えるようになる.特に大学教員.どんなに優秀でも大学の経営が悪ければ教職員を雇うことはできない.能力があれば入れるのかもしれないが,ただでさえ市場が縮まっているのだから,相対的に求められる能力が引き上がっている.教授200人と言えば助教600人ぐらいに匹敵すると思うので,こんなんが一斉に研究者の就職市場に溢れたらどうやって就職すればいいのかわからない.大学も年中採用しているわけでもないし,新卒一括採用ではなく中途採用に近い.博士号だけ貰っておいて他のキャリアを考えておかないと,わりと無職ニートが現実的になってきているような気がする.多くの人はまだ大丈夫とか言うけれども,お金の規模と溢れた教職員の数と年間で採用される総数を見ると,たぶんこれは就職無理だなって誰でも考えると思う.そもそも大学700校全部が毎年1人採用し,北大の職員が全員1年以内に雇われると考えたとき,自分らは最短で2年後から就職が決まる.実際そんなにうまくいかない.運が良ければ1年目で就職が決まるかもしれないけど,普通は2年間無職かポスドクで食いつなぐしかない.普通に考えてヤバイやんけコレ.将来的に大学の規模が縮小し続けると考えてしまうと,さっさと起業するためのプロダクトを在学中に考えてローンチするぐらいじゃないと奨学金が切れた後が恐ろしい.卒業できたとしてもすぐ資金難になるから留年考えて起業する方向も考えないとヤバイかもなぁ.