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未踏作業日誌――余計なもの作るよ!

未踏の作業日誌的なものを書きましょうということで書くことにしました.余計なことばっかりしています.

自作PCでデモをしよう

はじめに

最近,よく耳にするというか自分でも体験があることに,デスクトップPCで開発をやっていたらノートPCで動かすことができなかったということがある.ノートPCを買う予算もないし,高いノートPCを買ったとしても,デスクトップと比べたらスペックなんてたかが知れているので,ノートPCだけに何十万円も投資するのは少し馬鹿げてるかもしれないと思った.

実は,ちょっと前のDICOMOというシンポジウムで自作PCを現地で組み立てデモをするという冒険をしてみた.祈りながら組み立てたので,動いた時はとても嬉しかった.その時に準備したことや,注意したほうがいいようなことを共有したいと思う.

自作PCでデモをする目的

まず,デスクトップPCで開発をやっていると,意外とパフォーマンスを食っていることに気がつかないことがある.それで実際にノートPCで動かしてみたりすると,スペックが足りずに処理落ちをすることがあるかもしれない.

そこで,どうせデスクトップPCで開発をやっているのだから,そのPCを直接持って行ってしまうということを考える.特に,自作PCはノートPCと比べると安価に組める.ノートPCは壊れると修理に出さなければならないが,自作PCは壊れたパーツだけを交換するという方法で乗り切ることができる.

PCパーツの準備

PCパーツはだいたい壊れやすいもの,安価なもの,壊れると困るもの,多少乱暴に扱っても壊れないもの,忘れると起動できないものに大別される.時々,複数の要素が絡まる場合もある.

例えば,ハードディスクは壊れやすい上に壊れると困るものの一つになっている.そういうものはそもそも壊れるので使うのを諦めるという選択をせざるを得ない.

一方で,メモリは8GB2枚でも1万円少しで手に入る.その上,ちゃんと包んでいれば壊れない.もちろん,折れると動かなくなるため,折れないようにする必要はある.

自作PCの醍醐味は,目的に応じて構成を組み替えることにあるので,例えばOSを新規インストールして環境をセットアップできるのであれば,安価な64GBのSSDを新しく購入して,デモのデータをそこに入れることもできる.

 

まずは,搬入するPCパーツの構成を考えておく.絶対に必要なのはSSDの予備で,これはクローンコピーできるようにしておく.

センチュリー New裸族のお立ち台DJ クローンプラスUSB3.0 CROS2U3CP

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 例えば,出先で破損した場合,オリジナルのSSDが1台しかないと,データを復旧することが絶望的になる.なので,こういうのは,いつでもクローンしたりコピーできるような体勢を整えておく.実際,そこまで高くはないので,保険だと思えばいい.

そして,実際にデモで持っていくのは必ずクローンにしておく.

電源ボタンは忘れやすい.ケースから抜くのが大変だったら,電源ボタン用のパーツもあるので購入しておこう.とにかくPCに電源を入れるためのボタンがなければ動かないので,それをまずはどうにかしよう.

梱包の話

梱包は意外と厳重じゃなくてもなんとかなる.とりあえず,スーツケース1台で運ぶことができるのは間違いない.じゃあ何が重要なのかと言うと,パーツひとつひとつを丁寧に梱包すること.

そこそこ頑丈なパーツもあったりするけれども,油断していると破損する場合がある.プチプチでちゃんと梱包し,段ボールでサンドイッチにすることをオススメしたい.

そして,スーツケースに隙間が空いてしまうようなら,なるべく新聞紙などで軽く埋めておく.たまに激しくスーツケースが暴れることがある.新幹線に間に合わないなどでガタガタ動かすと,当然なかもぐちゃぐちゃになりかねないので,なるべく隙間を作らないようにしておく.

梱包は行きだけではなく,帰りも梱包しなければならないので,できれば簡単に梱包作業を繰り返せるような工夫をしておきたい.

スーツケースは,ディスプレイを持って行くなら大きいものを選んだほうがいい.小型のプロジェクタをDICOMOの時に持っていって,それでケースがパンパンになるほどだった.小さくて薄いキーボードがなければ,もしかするとケースが入らなかったかもしれない.そう考えると,ディスプレイを持って行きたいのならば,必然的に大型のものになってしまうので,その辺りを考えながら調達するといいかもしれない.

練習の話

いくら自作PC詳しいと言っても,現地で組み立てる時間などの関係で,すぐに用意しなければいけないときがある.その点についてはスケジュールと相談の上,実際に組み立てるための練習をしておいたほうがいい.

SSDが認識しないと慌てたり,BIOS画面から先に進まないとか慌てたりする時もある.なぜ,動かないのか即断できる程度の経験があればいいものの,普通はそういうことができない.ちなみに,両方ともSSDに電源が刺さっていなかったり,グラボの補助電源つなぎ忘れたりしていただけだったりする.

こういうミスで長い時間を取ることもある.なので,ある程度,トラブルシューティングできるように練習を繰り返したほうが,当日の準備がスムーズになる.

これは余談ではあるものの,練習するときは綺麗な机でやったほうがいい.練習が終わって梱包したときに,机の上に何かが残っていれば忘れ物をしたということになる.忘れ物を一つでもすると実際動かないので,忘れ物は言語道断になる.発表場所が秋葉原ならまだ手に入るが,スキー場だったら諦めるしかない.そのためにも,忘れ物をしない環境を作って,そこでやるというのがデモの準備ではどうしても必要になるんじゃないかなと思う.

熱暴走の話

ケース内だと熱がこもりやすいとおもいきや,実はケースのほうがエアフローが良かったりする.そのため,油断しているとCPUが熱暴走を起こして止まってしまうことがよくある.特に,夏場の屋外だと,きちんと対策を取らないと,グラボも逝ってしまうことがあるので,これらのパーツの冷却を考えなければならない.

とりあえず,必需品だと思うのが,冷却性能が比較的高いCPUクーラーとシルバーグリス.特に,乾いたCPUにCPUクーラーを乗っけても,そんなに冷却効果が得られない.

また,どうせむき出しになるのだったら,会場で扇風機を借りるなどしておきたい.扇風機で強引に熱を飛ばさないと,夏場の自作PCはすぐにバテてしまう.高級なグラボほど消費電力が大きいので注意されたい.

消費電力の話

消費電力は事前に確認しておきたい.1000Wもあればだいたい足りるとは思うものの,様々なごちゃごちゃした機械が必要になってくると,それだけ消費電力がかさんでしまう.あらかじめ会場で使える消費電力を聞いておいて,その消費電力内でデモができるかどうか検討するべきである.どうしてもダメなら,委員会の人と相談するなりして,レイアウトの変更や,電源の確保などを事前にしておかなければならないことがある.直前になって電源がたりないなんてことがあると,これもトラブルの一つになる.

なので,しっかり自分のシステムが使用する消費電力の量を把握しておこう.全体の消費電力はワット数を足し算すればいい.アダプタの入力を読んで,アンペア掛けるボルトでワット数も出てくる.

持ち運ぶときの話

梱包して全部まとめて運ぶぞとなったとき,死ぬほど重いって気が付くと思う.無理なら無理で周りの力を借りるしかない.スーツケースいっぱいの金属の塊になれば,暴力的な重さになる.新幹線の棚に無理やり押し込もうとして落としてしまうと,当たり前だけど何かが破損する.

そういうことがないように,スタッフとして友達を連れて行くとか,乗務員の人に手伝ってもらうとか,とにかく周りの力を借りないと運ぶのが難しい.重い.

デモ会場で荷物を受け取れるだけの余裕があるなら,小さな部品だけ自分で持っていって,大きな部品を宅急便で送ってしまう方法もある.もちろん,割れ物注意,振動注意,天地無用,あらゆる宅配オプションを付けて運んでもらう必要がある.佐川急便はやめたほうがいい.

初期投資にかかる費用について

ノートPCだと,AlienwareのプラチナでCore i7 4980HQ,GTX980M,DDR3-16GBの構成だと36万円ぐらいする.スペック的には,Core i7 4790K,GTX770とだいたい同じぐらいになっている.ノートPCのいいところは,持ち運べるところにあるので,これぐらい高くなるのは仕方がないとはいえ,13万円ぐらいで同じスペックのデスクトップPCをゼロから組めてしまう.

かと言って,ゼロから組むのが勿体無いのであれば,壊れにくい部品を持って行くことでコストを抑えることができる.例えば,CPU,メモリ,電源,SSD,CPUファンは梱包さえしっかりしていれば壊れにくい.マザボグラボはもしかすると壊れるかもしれないので,新しく買う必要があるかもしれない.それでも初期投資は6~7万円ぐらいで済む.そこまで高スペックのグラボを使っていなければ,もう少し安くなるかもしれない.

持ち運んで壊れるかもわからないものは,とにかく複数買うようにしておこう.グラボマザボも2枚ずつ持って行けば,片方がポンコツになっても,また組み直せば復旧させることができる.当日,デモができないことで信用を失うことのほうが大きな損失になるので,そこの保険はしっかりかけるように,複数のバックアップを用意しておこう.複数のバックアップを用意したとしても10万円にも満たないはず.

おわりに

DICOMOで実際に自作PCを持ち運んで得た知見を並べてみた.

基本的に自作PCでデモ発表する場合は,当然のことながら自作PCができるぐらいのスキルは欲しい.PCを分解すればそのまま向こうに持ち運べるかと言うと,そういうわけではない.ただ,そのために自作PCについて勉強するのは有りだと思う.普通の自作PCとは異なり,何度も設営などしなくてはならないため,組み立てスキルは十分に磨けると思うし,トラブルシューティングもうまくなると思う.

ただ,注意して欲しいことは,自作PCを始めたばかりなのであれば,自分のPCを分解するのではなく,ゼロからPCパーツを集めたほうがいいということ.分解してうっかり静電気で壊してしまったりすると,一時的に作業ができなくなったり,最悪はバックアップを取っていない状態でデータを飛ばしてしまうこともある.

とにかく,デモ発表では,きちんと復旧できる態勢を準備しておきたい.何系統かダメになっても復旧できるようなパターンを用意しておく.壊れにくいからと言って油断しない.ケチらない.

もう一度,自作PCでデモ発表をしたいかと言ったらしたくない.重い,死ぬ,暑い,不安.ノートPCを買う予算を誰か付けてくれ.以上.