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未踏作業日誌――余計なもの作るよ!

未踏の作業日誌的なものを書きましょうということで書くことにしました.余計なことばっかりしています.

スマホでOculusのようなことのできる装置の試作品を頂きました

ちょっと出先でいろいろな御縁があり,スマホでOculusのようなことのできる装置の試作品を頂きました.僕はスマホ持ってないのですが,さっそく大学に行ってスマホ借りてちょっとだけ遊んでみました.

 

見た目,仕組み

装置はまさしく簡易版Oculus Riftのようになっている.スマホをポケットに挟み込んで視差のできているレンズを覗きこむ形になっている.

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スマホを輪ゴムで止めるだけ.とてもワイルド.水平にした画面を半分に分割して,視差ができるようにレンダリングするだけでOculusのような両眼立体視を楽しめる.

現状ではスマートフォンで両眼立体視をやろうとする酔狂な人はいないため,アプリの数がどうしても少ない.一応,楽しめるものとして以下のようなアプリがある.

TinyVR - Google Play の Android アプリ

REFUGIO 3D Space-Station - Google Play の Android アプリ

Rollercoaster - Google Play の Android アプリ

Dive Wings - Google Play の Android アプリ

„Dive City Rollercoaster“ für iPhone, iPod touch und iPad im App Store von iTunes

 

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両眼立体視の命とも言っていいレンズの仕組みも物凄くシンプル.文房具屋等で市販されているレンズを3枚重ねているだけ.視差の調整は本体下部の出っ張りをスライドさせることでできるようになっている.

 

ガワはプラスチック製の板のようなものを使っている.プラスチックより硬いわけではないが,組み立てても壊れないようにしなりの強いものを使っている.文房具屋で手に入れることができ,ホワイトボードのようなものを使っているとのこと.

段ボールでも十分な強度を保てることなので,やろうと思えばガワはゼロ円で制作できるとのこと.

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レンズは1枚あたり200円ぐらいで売られているのを,左右それぞれ3枚ずつ,合計6枚.レンズは文房具屋でも探せば見つかるとのこと.

1台あたりのコストもレンズ代だけの1200円までしかかからず,将来的にはレンズの大量発注で原価500円以下,完成品で流通価格2000円を目指しているらしい.ガワはダンボールのような少し強度のあるものでも作ることができる.

また,開発者の方が太っ腹なのは,実はこの装置の設計図が既に公開されているということ.

http://mmsapps.projectkyoto.info/download/vreasyrecipe3-003.pdf

段ボールでできると書いたぐらいなので,レンズ(PDF内にAmazonリンクあり)さえ揃えればカッターと根性さえあれば自宅ですぐに組み立てることができる.設計図はA4版1枚程度となっていて,切込みを入れてトランスフォームさせればいい感じに画像のような装置に変形する.

小学生の夏休みの工作でもできるレベルなので,漫画雑誌の付録にしたらすごく広まるんじゃないかと提案してみたところ,「既に考えてはあるものの,法令的に漫画の販売価格と付録の原価が釣り合わずに難しい」とのことで,「ただし,ディアゴスティーニ的にやれば不可能じゃない」と言っていた.夢が広がる.

 

Oculusとこの試作機の比較

OculusはノートPCやデスクトップPCなどを利用するのに対し,この装置はスマホを計算機として使っている.OculusはOculus本体とPCをVGA接続しなければならないため,コードや演算装置,電源などでかさばってしまう,という問題があった.この試作機はディスプレイが計算機を兼ねているため,重たいものを持ち運ぶ必要がなくなった.

 

また,DK1の弱点として,位置トラッキングができないという問題があった.この問題を解決するためにDK2では,位置トラッキング用のデバイスをOculus本体の前に設置することで解決した.しかし,それでもDK2では位置トラッキング用のデバイスが増えてしまい,より外で遊びにくくなるという問題が増えてしまった.

この試作機ではDK1,DK2の位置トラッキングの問題を解決している.そもそもスマホをぶっ刺すため,ジャイロセンサと加速度センサがフルで使うことができる.この2つのセンサを組み合わせれば位置トラッキングが可能になる.

 

この装置の凄いところ

スマートフォンはセンサの塊と呼ばれている.しかし,それ以上にスマートフォンは拡張することで威力を発揮する.

例えばドコモでは,スマートフォンのセンサを拡張するための口臭・アルコールセンサを兼ねたカバーを開発している*1.このセンサはminiUSB接続で拡張している.

もちろん,miniUSBなのでArduinoも接続できる.Arduinoで自作したヘンテコデバイスをスマートフォンに接続して面白いことをやっている人もいる.

他にも車載センサをスマートフォンに接続して操縦補助を行う事例もある.車載GPS,速度計,アンテナ,オイルメーター,車の中のあらゆるものを組み合わせれば様々な走行支援アプリを開発できる.

スマートハウスでは,家中の家電をスマートフォンで管理できるようになっている.スマートフォンと家電がBluetoothWiFiで接続され,絶えずスマートフォンに計測データが送られる.また,家中に仕掛けたセンサを利用して健康管理まで行うようなサービスも存在する.

これらの例のように,スマートフォンは拡張することでアプリケーションによってできることの幅を広げることができる.この装置は攻殻機動隊電脳コイルの入り口に立つことのできる唯一のデバイスと言っていいかもしれない.

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(つまり,こういうことがやりたかった.カメラの位置が合わないので,うまいことキャリブレーションする方法を模索中.ProjectTango欲しい)

 

おわりに

開発者の方は「Oculusはコロンブスの卵的な発想だったけれども,この装置はさらにコロンブスの卵的な発想でOculusでできなかったことを実現した」と言ってました.

この装置で遊べることは無限大です.幸い,スマートフォンは一家に一台はあるほどに普及しています.今は仮想的な閉空間でVRを楽しむしかありませんが,深度センサや3Dカメラが普及すれば,外でARとVRを同時に楽しむことができるようになります.

今,物凄くこれで何かを作りたい感じなのですが,さすがに未踏が終わるまでおあずけしなければなりませんので,ここで筆を置きたいと思います.